認知症は、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたすようになる疾患の総称です。高齢者に多くみられますが、早期から適切なケアを受けることで進行を遅らせ、より良い生活の質(QOL)を保つことが可能です。
当院の認知症外来では、専門医による診断と治療、そしてご家族を含めた総合的なサポートを行っています。
認知症とは
- 主な原因:脳の萎縮や血管性障害、タンパク質の蓄積などが関与し、神経細胞が徐々に損傷されることで発症します。
- 多様な疾患:アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、原因や症状の現れ方は多岐にわたります。
- 発症年齢:高齢者に多いイメージがありますが、50代やそれ以前に発症する若年性認知症も存在します。
- 早期発見・早期対応の重要性:「物忘れが気になる」「同じことを繰り返し尋ねるようになった」など、小さな変化に気づいたら早めの受診が大切です。
認知症の症状
物忘れは正常の範囲か?
加齢による物忘れは誰にでも起こり得ます。電話番号や人の名前が一時的に思い出せない程度で、日常生活に大きな支障をきたさない場合は「年相応の物忘れ」と考えられます。一方、メモを取っても何度も同じことを聞いたり、家族に何度も同じ話を繰り返してしまう場合などは「軽度認知障害(MCI)」の可能性があります。MCIは認知症の初期段階である場合もあるため、注意が必要です。
アルツハイマー病の初期症状
アルツハイマー病をはじめとする認知症の初期症状はゆっくり進行します。代表的な兆候には以下があります。
– 最近の出来事が思い出せない
– 同じ質問や話を繰り返す
– 言葉が出てこない、理解しづらくなる
– 集中力や判断力が低下する
– 複雑な家事や金銭管理が難しくなる
– 慣れた道でも迷いやすくなる
進行期・後期症状
認知症が進むと、上記の症状がさらに悪化するほか、性格や行動にも大きな変化が見られる場合があります。
– 攻撃的になったり、不機嫌が続く
– 抑うつ状態や無気力(アパシー)
– 睡眠障害(夜間の徘徊や昼夜逆転)
– 幻覚や妄想
– 日常生活動作(食事・入浴・着替え)に支援が必要になる
– 排泄のコントロールが難しくなる
進行の早さや症状の強さは人によって大きく異なります。また、認知症そのものが直接の死因になることは少なく、多くは肺炎や尿路感染症、転倒による骨折などからの合併症で亡くなることが多いとされています。
診断と治療
- 診断方法
症状や生活状況のヒアリング、神経学的検査、画像検査(MRI、CT)や血液検査などを総合的に評価し、認知症の有無やタイプを判定します。 - 薬物療法
認知症のタイプによって有効とされる薬があります。
・コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)
・NMDA受容体拮抗薬(メマンチンなど)
症状や疾患の進行状況に応じて、主治医が最適な治療方針を提案します。 - リハビリテーション・デイケア
生活リハビリ、作業療法、運動療法を組み合わせることで、残存機能を維持・向上させることが期待できます。 - 家族支援
ご家族の介護負担を軽減するため、介護サービスの利用や地域のサポートを含む総合的なケアプランを提案します。
社会資源の活用
認知症の方とご家族が安心して暮らすためには、公的支援制度の活用が欠かせません。
介護保険制度
介護保険制度において、要介護認定を受けることで、訪問介護や通所リハビリ、福祉用具貸与など多様な介護サービスが利用可能になります。市町村の窓口や地域包括支援センターで申請手続きを行い、介護度に応じて必要な支援を受けることができます。これにより、家族の負担軽減や、自立した生活の維持がサポートされます。
成年後見制度
認知症が進行すると、財産管理や契約などの判断が難しくなります。成年後見制度を活用することで、後見人が本人の代わりに管理や契約を行い、権利を守ることができます。家庭裁判所に申立てることで後見人が選ばれ、安心した生活を支えます。
相談窓口
地域包括支援センターや自治体の福祉課では、介護や認知症に関する相談を受け付けています。専門職が対応し、サービスの利用方法や手続きについてアドバイスを提供。担当者と連携して、適切な支援を受けることができます。また、民間の相談機関や団体も活用できます。
居宅介護支援事業所との連携
当院が所属する医療法人社団二三会内には、居宅介護支援事業所があり、ケアマネジャー(介護支援専門員)と密に連携することができます。
・介護保険サービスの利用
・在宅リハビリや訪問看護の調整
・福祉用具の導入や住宅改修の手続きサポート
など、患者さまやご家族の状況に合わせて総合的に支援いたします。
当院の特徴
- 専門医による診療
脳神経内科専門医が、最新の医学知見に基づいた診断・治療を行います。 - チーム医療の実践
医師だけでなく、看護師やリハビリスタッフ、ケアマネジャーなど多職種が連携し、患者さまとそのご家族を包括的にサポートします。 - 地域との連携サポート
介護施設や地域包括支援センターなどと連携し、在宅介護やデイサービスなどの利用を含めた総合的な支援体制を整えています。 - 負担の軽減と継続的フォローアップ
生活面でのアドバイスや定期的なフォローアップを行い、認知症との長期的な付き合いをサポートいたします。
受診をご希望の方へ
「物忘れが増えた」「会話がかみ合わなくなってきた」「行動に変化があり、家族が心配」など、日常生活で気になる症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。早期発見・早期対応が、認知症の進行を遅らせ、より良い生活を維持するための第一歩です。
医療法人社団二三会 あべメディカルケアグループ
みずほ内科クリニック(内科・脳神経内科・リハビリテーション科)
脳神経内科を中心に幅広い診療を行っています。
何科を受診すればよいかわからない場合でも、お気軽にご相談ください。
認知症の早期発見・早期治療は、ご本人だけでなくご家族の生活の安定にもつながります。みずほ内科クリニックでは、一人ひとりの状態やライフスタイルに合わせた最適な治療プランをご提案し、地域の皆さまが安心して暮らせるよう全力でサポートいたします。